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ライジング雷神

「てやぁぁぁぁ!!」

黒く束ねられた髪がはね、目も眩むような剣閃が銀色のきらめきとなって怪人の体を攻め立てた。苦しそうな声を上げる怪人の攻撃をひらりとかわすと、その背後から現れた銀髪の女が連撃を叩きこむ。

「β!!」

「はいはーい!!」

左右の拳から繰り出される攻撃は苛烈の一言で、3mはあろうかという怪人の体が一撃をぶつけられる度に派手に左右に振られた。流れるような動きでくるりと回転し、怯んだ相手を勢い良く蹴りあげる。

「γちゃんよろしくぅ!!」

「ターゲットロック」

空高く舞い上がった相手に、銃弾の飴が降り注いだ。鋼のような色をした髪を持った女が、怪人を見上げることもなく的確にその体に銃撃を叩き込んでいた。両手に持った不釣り合いなガトリングが高速回転し、破壊の雨を怪人へぶち込んでいく。

「α……いま」

「とどめだっ!!」

黒髪の少女、αが太刀を地面へとつきたて。

「昇竜斬!!」

おもいっきり力を込めてそれを引きぬく反動を使って空高く舞う。銀色の剣閃が空へと登って行き、空中で銃弾の雨に振られ拘束速回転する怪人の体を、綺麗に両断した。真っ二つになった怪人がドサリと地上へ落ち、一拍おいて大爆発が起きる。それを背にしながら、彼女たちは勝利を彩るようにポーズを取った。

「ダガークリスタル……正義執行完了!!」

プツンと音を立ててその映像が消えた。あとに残るのは真っ白な壁だ。ダガークリスタルのアジト、ドクターの研究所の一室で彼女は今の映像を眺めながら唸った。

「ちょっと、わざとらしすぎるかしらねぇ」

自ら編集した映像の出来栄えに首を傾げ、軽く唸る。

「んー、まあでも……別にいっか。とりあえず目につくのが目的なんだし……」

それから軽くモニタに目をやり、指先で何事か指示を出すと。

「さて、でっかい釣り針をぶら下げたわけだけど……うまく引っかかってくれるかしらね?」




「……まっすぐドクターのところに行ったのかな……」

輝石は図書館でぼんやりと本を眺めていた。今日は怪人に出会うこともなく、珍しく平穏な日常を送ることができていたのだが……いざ何もないとそれはそれで暇になってしまった。しかたがないので学校の帰りにある図書館によって適当に引っ張ってきた本を斜め読みしていたところである。しかしながら、なかなかページは進まない。少しページを捲っては、軽く目をつぶって小さな唸りを上げる、の繰り返しだ。というのも、そうすることにより見えるものが会ったからで。ダガークリスタルに出会ってから、少し目を閉じれば彼女たちの大まかな位置がわかるという能力が彼女に追加されていた。大方、ドクターが検診の折に何かしたのだろうとは思うが、詳しくは聞いていないので分からない。彼女自身それなり便利だし、会ったところで不便でもないので放っておいてはいるが。

「んー、これ、そのうち遊びに行けってことなのかなぁ」

そういうドクターの意志の現れなのかと首を傾げる。一応、彼女たちとは仲間であるはずだし……

「でも……どう考えても睨まれてたよね私」

初めてドクターと、彼女たちとであった時のことを思い出す。黒髪の彼女、ダガーαは親の敵でも見るように輝石のことを睨んでいた。他の子と話すことはあっても、彼女とだけは未だに話をしたことがなかった。

「そういえば、名前、なんて言うんだろ」

ダガーα、ダガーβ、ダガーγ。本名は知らない、彼女たちはいつもその名前で呼び合っているから。

「彼女たちも、私のことクリスタルっていうし……」

ヒロイン同士の付き合いとしては、そういうのが妥当なのだろうかと考えていると。

「隣、失礼してもいいかしらん?」

ふと、誰かがそう言って横に座ってきた。

「あ、どうぞ」

「ごめんねー、開いてる席を使ってもいいんだけど。ここが一番近いのよね」

横に座った女性は、手に沢山の本を積んでいた。どれもコレも、彼女が読んでいるような小説とは違って古めかしい書物だ。この席の近く、図書館の奥の資料室から引っ張りだしてきたものだろうと推測ができる。

「さすがにカビ臭いわ、こりゃ」

軽く開いて、横にまで漂ってくる古書の臭いに顔をしかめる。そして、臭いを散らすようにと手をパタパタとさせたせいで、本に積もっていた埃が舞った。ふわりと浮いた大きな埃が、クシャッとしたウェーブの金髪に乗っかり。

「あの……髪に、埃が」

「あ、ホントだ……ありがとね、お嬢ちゃん」

「いえ……」

「さすがに、こんな誇りまみれは迷惑ね……ごめんね、埃飛ばしちゃって」

そういった彼女はホコリまみれの本を片手に資料室へと戻っていった。すぐにも出てきたが、その時には手にした本からは綺麗に埃が落とされてしまっている。

「これなら、大丈夫でしょ」

そう言って足を組み、鼻歌を唄いながらずっしりと重く、大きなその本のページをめくっていく。ちらりと見えるその内容は、文字が小さくてよくわからないが……傍らに付けられている図は、地図だろうか……

(学者サン、かな?)

ダガー達の事を考えるのを中断して、その女性の方を見やる。スラっとした長身、タンクトップにホットパンツというラフな格好。それがよく似合うビッグバンボディだ。特に尻から足がすごい。

(む、ムッチムチだァ!!)

自分の足を揉んでみた。貧相で悲しくなった。現実逃避して羊の数を数えそうになったが折角なので目の前の女性のお御足を目に焼き付けることにする。

(モデルみたいだけど……)

モデルなのかなー、モデルで学者さんなのかなー、などと考えるが。答えなど出るはずもない。そんなことを思っている間にもムチムチ神は本を一冊読み終え、新しい本に手を出そうとしていた。しかしそこで手を止め、こちらへと向き直る。

「読まないの? 本」

「あ、え……」

「さっきから、ページが進んでないように見えるけど?」

「あーうー、それは……おねーさんに見とれていたからですね」

「わお、ありがと。でも、折角図書館にいるんだから本を読んどかないと損よ?」

「で、ですよねー」

「そうそう、正直そこまで熱い視線ぶつけられると少し気持ちっちゃうしね」

「うう、ごめんなさいです」

彼女の謝罪に女性はクスリと小さく笑って。それから思いついたように唇に指を当てた。

「別に謝らなくてもいいわよ……んー、そうね。ここで会ったのも何かの縁だし、折角だから貴方にも聞いてみちゃおうかしらん」

「な、なんなりと」

「えーと、それじゃあねぇ」

尻のポケットから手帳を取り出し、輝石へと何かを聞こうとしたその瞬間。大きく建物が揺れ、図書館の外から爆音が轟いた。

「うわっ!?」

嫌な予感がビンビンとした。その感覚が彼女にひとつの事実を伝える。この爆音の原因は、怪人だ。立ち上がって窓に駆け寄ると、目の前にある小型のビルから火の手が上がっていた。いや、そういうには火の勢いがあまりにも強すぎる。そこで起きているのは、爆発だ。

「あっちゃー……私狙いかなぁ」

彼女の横から女性がひょいと顔をのぞかせ、しまったなぁと言う表情を浮かべた。それから、輝石の手を握り。

「ごめんお嬢ちゃん……あなたもお姉さんなら、向こうのブースにいた女の子を避難させてあげて」

「それは、わかりましたけど……」

「ん、ありがと……あなたもきっと美人になるわよ」

そして、サッシに足をかけ。なんでもないようにヒョイ、とその身を外へと投げ出したのだ。

「え、あの……ここ4階ですよ!?」

すでに空中に身を乗り出した女性に向けて言うが、相手はニンマリとした笑みを浮かべて。

「大丈夫大丈夫。お姉さんこう見えても、正義のヒロインなのよ」

すごい勢いで、地上へと落下していったのだった。一拍をおいて雷鳴と共に、黄金の煌きが迸った。

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