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暗躍

モニターに映像が映し出されていた。カラカラと回る映写機は古風で、ともすればそこが現在ではないのではないかと錯覚させる。映しだされているのは、エメラルドのような美しい髪の色の女声、いや、戦士というべきか。普通の人間が着るにはあまりにも不釣り合いなアーマースーツを身にまとっている姿はこの世界ではそう珍しいものではない。苛烈なフラッシュを繰り返しながらその戦士は醜悪な姿をした怪人と戦っていた。初めの方は優勢に戦いを繰り広げるも、いざとどめを刺そうという段階であっさりと逆転されてしまう。その後に続くのは、目を覆いたくなるような無残な陵辱劇だった。

「……解せないな」

かちりと音を立ててそれを止める。そして、壁に向かって手を振ると映写機が回るまでもなく壁一面にその戦士の映像が映し出された。エメラルド色の髪を翻し戦う正義のヒロイン。ぶっちゃけそれほど有名でもない。それほど強くもない。壊滅させた組織があるわけでもなく、すごいことをしたわけでもない。巷で付けられているヒロインランクで言えば、Bランクにでも甘んじるだろう。それが、その戦士への評価だった。

「一体……何を思ってこんな設定に?」

映像に映し出される戦士の結末は、常に同じだった。いいところまで言って、やられる。無事に相手を倒していることなど10に1あるかないか……

「……疑いすぎ、だったか?」

かけたメガネに手を当て、それを軽く動かしながらため息を付いた。

「まあ、だとしてもあの子達の踏み台になってくれるなら。それはそれでいいのだが……」

映像には続きがある。戦士が悲惨な目に会い、淫獄へと堕ちた後決まって3人のヒロインが現れその怪人を叩き潰していくのだ。鮮やかな連携で、一切の油断も躊躇もなく、怪人を刈り取っていく。怪人を打ち倒した3人は、爆炎を上げる怪人を背景にポーズを構えると……その場を後にした。

「……ディアクリスタル」

バチと音がなって部屋に光が灯る。白を基調とした清潔な印象を受ける大きな部屋だ。

「……また彼女のことを見ているの? ……存外暇なのね。そして、その映写機何の意味があるのか教えて欲しいんだけど」

「趣味だ、なんとなく作った……レジーナ……きていたのか」

先程まで誰もいなかったはずの空間に、長身の女性が立っていた。前を留めないバスローブの下に下着を身につけただけ、という姿をしている。

「ええ、暇だったから来ちゃった……」

「いつものようにモデル漁りでもすればいいんじゃないか」

「それも飽きちゃったの……で、なにか面白いことないかなってここに来たんだけど」

「それならば残念だが、作戦の実行までここでは何も面白いことは起こらないぞ」

「あらそう? それは残念ね」

一瞬沈黙が場を支配した。レジーナと呼ばれた女は、暇そうに髪を弄り……すっ、と踵を返した。

「それじゃ、どこかに行って遊んでくるわ」

「そうしろ」

そういって手をふろうとしたが、ふと思い出したように。

「……いや、待て……レジーナ、君は確か……ディアクリスタルと戦ったことがあったな?」

「んー、結構昔の話ね。あったわよ……そこそこ履き心地良かったもの、彼女」

「ではなぜ、ディアクリスタルが今こうしてヒロインとしての活動を続けている?」

「さあ? どっかから逃げ出したんじゃないの? 私、飽きた娘まで管理しないし」

「そうか、そういうやつだな君は……」

「もういいかしら? それじゃあ、一刻も早い作戦の遂行を楽しみにしているわよ。プロフェッサー?」

「そうだな、楽しみにしていてくれ」

それだけ言って、彼女はその姿を消した。

「勝手なやつだ……だがまあ、そろそろ餌にかかってもいいはずだが……」

一人残されたプロフェッサーは、ふむ、と頷きながら考えこむように腕を組んだ。シティの深い闇がズルリと音を立てて動いている。




「あー、また負けちゃった」

爆炎が晴れる前にと、ディアクリスタルは戦場を後にしていた。股間からは精液が滴り、体中からは異臭が立ち上る。凄惨なまでの陵辱の名残が、たしかに彼女に刻まれていた。ふと上を見あげれば、怪人を片付けたダガークリスタル達がさっそうとビルを蹴って去っていくところだった。手をふろうかとも思ったが、やめた。きっとこちらになんて気づいてもいないだろう。

「最近はいつも、こうだな」

彼女が負け、少し遅れてやってきたダガークリスタル達が怪人を殲滅する。彼女はその爆炎に紛れて、逃げるように戦場を後にする。それが最近の、彼女の一連の流れだった。

「……私ほど弱いヒーローもきっといないよなぁ」

そんなことを思いながら、変身を解く。一瞬彼女の体が結晶に包まれ、それが割れて消える頃にはそこにはクリスタルとは似つかない少女がいた。

「……情けないなー、私」

体からはもう異臭はしない、股間に違和感も残っていない。ディアクリスタルと金剛寺輝石は、同一人物でこそあるがその体の情報は連続していなかった。軽く手を握り、開く。

「カラオケでも行こうか」

もちろん一人カラオケだ。最近は歌のレパートリーも増えた。

「デュエットとか、歌ってみたいなあ」

なんていいつつ、路地裏を出ようとする。そこで、ふよンとした何かにぶつかった。

「おう……この高さにあってこの柔らかさ。服の厚み越しに伝わるファンタジー、コレはまさしくオッパイ」

「見事な解説を有難う」

彼女は路地裏の出口で、オッパイもとい長身の女性とぶつかってしまった。スタイルがいいし格好もいい。イカした帽子に革ジャンもよく似合っている。サングラスまでかけていて、まるで探偵のようだった。

「と、大丈夫かい?」

「え、ええ……見事なクッションに受け止められましたから」

自らの胸がないことをジェスチャーしながら言うと。

「はは、君もきっと大きくなるよ」

と言って、ビルを見上げた。先程そこらを飛び回っていたダガークリスタルたちは、もうそのあたりには見られない。

「……見失ったか」

そしてその女性は、

「さあ、君も帰った方がいいよ。ここは物騒だからね」

そう言って去っていった。一人残された彼女は。

「かっこいい人でした……」

無慈悲なオッパイ神を呪いながらも、去っていく姿を見送っていた。


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